高校生の就活って1人1社制って本当?1人1社制について調べてみた

社会

皆さんは「高校就活の1人1社制」というのを聞いたことがあるでしょうか。

浪人しながらも大学に入学した自分にとっては高卒就職は無縁だったし、高校も決して進学校でもないけど、高卒就職がいるかと言われればほぼいない学校だった。

なので自分はこの1人1社制というものを全く知らなかったんだけど、最近高卒就職には1人1社制ということがあることを聞いて驚いた。

1人が1社しか受けられないとか辛すぎじゃない?と思って、1人1社制について色々と調べてみた。

1人1社制とは?

1人1社制とは、名前の通り高卒の高校生は一定期間は1人1社しか会社に応募できないということらしい。

1950年代の高度経済成長期にできたルールで、学業が本分の高校生が多忙な就活で学生生活に支障をきたさないように定められたとのこと

1社応募して受からなければ就活が終わりというわけじゃなくて、1社受けて受からなければその後は複数社受けてもOK。

じゃあいつまで1社しか受けられないのかというと、基本的に高校生の就活のスケジュールは↓のように進むらしい。

都道府県によって少し違いはあるけど、基本的には7月1日に会社側が求人公開、9月16日〜選考・内定、10月1日〜 選考に不合格だった場合は10月から2社まで受験可能。

都道府県によっては10月も1人1社が続く都道府県もあるし、10月以降1人1社から解禁される都道府県も、大体が10月以降も1人2社までしか受けられない。

自分が大卒で就活をした2015年は1人で何十社も応募するのが普通だったから(自分も確か30社ぐらい応募した)、割とこの縛り制度には驚き。

これってすごいひねくれた見方をしたら職業選択の自由っていうところに引っかかるんじゃないの?

なんでこんな制度になっているのか気になったので調べてみた。

高卒就活の仕組み

そもそも高校就活を調べてみると大卒就活とはだいぶ違う。

大学生は個人で勝手に企業に応募して選考を進めていくけど、高校の場合は基本的に学校の推薦が必要になるらしい。

7月に企業が公開した求人に基づいて、担任の先生、進路指導の先生、生徒、保護者などが相談し応募企業を決め、「学校推薦」という形で応募する。

この時に応募できるのが1社までで、学校推薦で応募してるわけだから途中で辞退みたいなのは基本的にできない。(できるけど、すると次の年の卒業生に影響が出る)

高卒就職は学校に推薦してもらわないと応募できないし、応募する際も基本的に応募企業の情報は求人票のみ。(職場見学があるところもある)


自分は自由にやるのが好きだから、学校に推薦してもらわないと応募できないのも面倒くさいし、情報が求人票しかないのも情報少なすぎるし、内定辞退できないのもなんか嫌。笑

もちろんこの1人1社制は生徒に利益があるから始めたわけで、メリット・デメリットも調べてみた。

1人1社制と学校推薦のメリット

<生徒側>

■就職機会が平等

これは言葉の通り。

1人が何社も併願できないとなると、皆が平等に1社ずつ受けるので就職の機会は平等に与えられる。

■就職内定率を高める

学校が企業知識・職業知識が乏しい高校生に適切な指導を行い、生徒を推薦することで企業側も学校が推薦する生徒であれば安心感があり、採用の可能性が可能性が高まる。

ちなみに2023年3月での令和5年卒の高校生就職内定率は99.2%

■学業に集中できる

1人1社制はそもそも学業に影響が出ないダメにできた制度、生徒に合う企業の選定や企業とのやり取りは先生が行うので、生徒の負担は少なく学業に集中できる。

<企業側>

■採用コストを抑えられる

企業がやることは求人票を出すことだけで、求人サイトを使ったり、会社HPに求人広告を出したりする必要がないのでコストが安い。

また、採用活動期間も短いのでそれもコストダウンになる。

■採用計画が立てられやすい

複数社受けて内定辞退がある中途屋大学生と違い、1人1社しか受けず基本的に内定辞退がない環境なので採用期間が長期化しない。

内定辞退を想定して多めに内定を出すこともしなくて済む。

1人1社制のデメリット

■行きたい企業に行けない

基本的に1つの学校から1人しか応募できないので、学校で希望者が複数人いた場合は行きたい企業に応募できないことも。

また、最初は1社しか受けられないので、もし最初の会社に落ちて次に行きたい会社があってもすでに募集を終了してる場合がある。

■ベンチャー企業には不利

学校推薦があるので、もちろん昔から卒業生が就職している、学校とのパイプがある会社に有利に働く。

高卒採用を始めたばかりの会社だと学校とのパイプがなく参入しづらい

■ミスマッチが起きやすい

先生と相談して学校推薦を取り付けるが、生徒は企業とは直接連絡を取らず求人票で情報を比べることしかできない。生徒・企業双方に理解が少ない中で選考となり、採用となると学校推薦なので辞退が難しい。

ちなみに厚労省によると、2021年3月に就職した人の2024年3月の離職率は38.4%

まとめ

そんな1人1社制だけど、生徒の主体的な職業選択を妨げ、早期退職につながっているという意見が指摘され始め、近年は秋田、沖縄、和歌山、大阪が続々と1人1社制を廃止している。

2025年の3月卒では茨城県も1人1社制の廃止となっていて、徐々に1人1社制が解禁されていく流れにはなっている。

まあ確かに1人1社制が解禁になると全く内定が取れない生徒と内定を何個もとる生徒に二極化すると思うから、それはそれで問題だなとも思う。

でも個人的には経済って基本的にそういう競争があっていいと思うし、就職先を管理されてたら社会主義みたいで嫌だなーと思った。

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